FerroptoCure Science
1.私たちの研究
株式会社FerroptoCureは、科学的エビデンスに基づいて次世代の抗がん薬やその他疾患の治療薬を開発する企業です。私たちのパイプラインは、がんや神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病など)、肝炎(NASH)など様々な疾患において、その発生や悪化に関わるとされているフェロトーシスに注目して構築しております。特に、最新の研究により、がんの治療抵抗性においてフェロトーシスの制御が、がんの発生や進展、転移に強く関与することが知られています。私たちは、このフェロトーシスの制御メカニズムを破綻させる抗がん剤を生み出すことにより、がん患者さんに新しい治療法を届けることを目指しています。
そのために、次世代シーケンス、データインフォマティクス、in silico解析など様々な技術を用い、そして最先端の研究を行う大学などの研究機関と共同研究を行いながら開発に取り組んでいます。
2.がんとフェロトーシス制御
がん細胞内で代謝や抗がん剤治療などにより、H2O2などの活性酸素が蓄積すると、細胞内の不飽和脂肪酸が酸化され、過酸化脂質が細胞内に蓄積し、アポトーシスとは異なる経路でフェロトーシスという鉄依存的な細胞死を誘導します。一方で、がん細胞は、抗酸化物質である還元型グルタチオン(GSH)を利用して、活性酸素により生成した過酸化脂質を還元し、フェロトーシスを抑制します。これには、シスチントランスポーター(xCT)やグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)といった蛋白質や酵素などが関わっています。これらの抗酸化メカニズムを標的とするフェロトーシス誘導療法が、新たながん治療戦略として注目されています。特に、既存の抗がん剤に対して耐性を持つがんでは、フェロトーシスへの感受性が高いことが知られており、次世代のがん治療戦略として強く期待されています。
3.フェロトーシス制御メカニズムの破綻に注目したFerroptoCureパイプライン
がん細胞にしばしば高発現しているシスチン-グルタミン酸交換輸送体のサブユニットxCTは、抗酸化物質である還元型グルタチオンの原料となるシスチンを細胞内に取り込む働きを持ちます。そのため、xCTの阻害によりフェロトーシスを誘導できることが知られており、がん治療の有望な標的の一つであるとされています。
私たちはこれまでに、すでにxCT阻害剤用いた臨床試験を実施しており、進行肺がんでは、SSZを従来の抗がん剤と併用することで、無増悪生存期間が著明に延長することを報告しています(Cancer Sci. (2017))。
さらに、私たちはこれまでの研究から、xCTへの抵抗性や耐性獲得メカニズムを解明しました。これにより、xCT阻害剤に対して抵抗性をもつがんにおいても、フェロトーシスを誘導することに成功しました。この開発パイプラインを用いた抗がん剤を臨床応用し、「がんで困らない社会」の構築に向け邁進して参ります。
また、私たちはこの開発のパイプラインを動物(ペット)にも応用するためのプロジェクトを進めております。私たちは、ヒトに用いることのできる抗がん剤を開発する過程で、高い安全性を持つ薬剤を創ることに成功しました。そのため、この薬剤をがんで苦しむ動物とそのご家族のために役立てられないか、と考えました。ペットも高齢化が進み、がんによる死亡が増えています。その一方で、ペット用の抗がん剤はかなり少ないのが現状です。人間もペットもがんで苦しまないための治療法をつくる「One Health」、この言葉を胸に開発を進めております。
4.パイプライン一覧